2015年9月27日日曜日

大政龍信博士の振動撹拌による放射能無害化特許

このブログでも度々紹介している振動撹拌による元素変換に関する特許が公開されていました。おそらく、大政龍晋博士の自叙伝に掲載されていた方式に関する特許だと思われます(電気分解を併用する方式です)。
以下、特許出願書類から要点を引用します(赤字は引用者による)。
(19) 【発行国】日本国特許庁(JP)
(12) 【公報種別】公開特許公報(A)
(11) 【公開番号】特開2015-55527(P2015-55527A)
(43) 【公開日】平成27年3月23日(2015.3.23)
(54) 【発明の名称】高周波振動撹拌のエネルギーと、その撹拌機の振動羽根を両極として水の電気分解により発生するナノ・マイクロバブルの破裂エネルギーの共用で、ある元素から他の元素に変換させる技術及び処理方法、並びに放射性セシウム137及び134等の放射性物質の無害化する技術及び方法
(21) 【出願番号】特願2013-188323(P2013-188323)
(22) 【出願日】平成25年9月11日(2013.9.11)
(71) 【出願人】
【識別番号】392026224
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
【住所又は居所】東京都大田区久が原2丁目14番10号
要約は以下の通りです。
【課題】ある元素から他の元素に変換させる技術及び処理法並びにセシウム134及びセシウム137などの無害化システム及び装置の提供。
【解決手段】システムは、処理槽1、高周波振動モーター3、前記モーター3に連結された処理槽1の下方へと伸長する2本の振動棒4及び振動棒4の下部に取付けられた多段式振動羽根5を含んで構成される高周波振動撹拌装置を備えている。前記モーター3を、インバータ6により制御して、処理槽1中の放射性物質を含む液中おいて多段式振動羽根5を100~200Hzの周波数で振動させることにより、放射性物質の無害化が進行する。更に、多段式振動羽根5を電極と兼用して電気分解することにより、その際発生するナノ・マイクロバブルの破裂により生成する強力なエネルギーにより元素の変換並びに無害化の効果が大幅に向上する。また、この元素変換技術はカルシウムを貴重なコバルトやニッケルへと元素変換することも可能である。
実施例に測定値が載っていました。
【実施例1】
【0033】
  放射性セシウム137及び134を含有した汚染水を高周波撹拌装置で、160Hzの振動数にて、22日間、無害化実験した結果を表1に示す。
【0034】【表1】
【0035】
  その結果、約3週間の処理での無害化率は約20%であった。

【実施例2】
【0036】
  実施例1に電気分解を併用した無害化実験の結果を表2に示す(振動数は同じく160Hz)。
【0037】【表2】
【0038】
  その結果、約2週間の処理での無害化率は約50%、さらに約2週間の処理でさらに約50%(処理前に対して約75%)であった。実施例1(無害化率20%)と比較すると、電気電解を併用すると無害化率が著しく向上することが判明した。このことにより、電気分解の際に発生するナノ・マイクロバブルの強力な破裂エネルギーの効果が確認された。
【0039】
  表3に示すように、バブリング槽内のセシウム137は21~23Bq、セシウム134は10~12Bqでいずれも元の汚染水の約1/1000の濃度であり、電解により生成された酸水素ガス(OHMASA-GAS)に随伴される放射性元素量は僅かであることがわかる。
【0040】【表3】
【実施例3】
【0041】
  実施例2と同じく電気分解を併用し、高周波撹拌機の周波数を120Hz、140Hz、160Hz(実施例2)、180Hz、190Hzに設定した無害化実験の結果を表4~表7に示す。
【0042】【表4】
【0043】【表5】
【0044】【表6】
【0045】【表7】
【0046】
  この結果無害化率は周波数により大きな差が認められ、160Hz(実施例2)の場合の無害化率が最も高かった
上記で、振動周波数が高ければ高いほど効果が高い訳では無い、という所が面白いですね。160Hzの場合が無害化率のピークになっています。

【実施例4】
【0047】
  次に、実施例2と同じく高周波撹拌及び電気分解併用して温度40℃、80℃に設定して無害化試験を行った。その結果を表8、9に示す。
【0048】【表8】
【0049】【表9】

【0050】
  この結果、表8、9に示すようにセシウム137無害化率は74%及び72%、セシウム134ではいずれも73%であり、温度による影響は認められなかった


【実施例5】
【0051】
  セシウム133(試薬)を用いて、高周波撹拌及び電気分解併用でセシウム1133の元素変換実験を行ったところ、表10に示すように、約2週間の処理でセシウム133が、バリウムそしてプラチナに元素変換することが確認できた。なお、中間の値が最終の値より大きいのはさらに別の元素に変換がされた結果と推測される。
【0052】
  元素分析に使用した測定器は、横河アナリティカルシステム(株)製のICP質量分析装置(HP-4500、形式:NIGC16190  SD)を用い、セシウム133を350mg/Lの濃度となるように、3%のKOH水溶液に溶解し、0.5Lの試料を採取して測定した。
【0053】【表10】
【実施例6】
【0054】
  更に、元素変換を確認するために0.5%の塩化カルシウム水溶液を、実施例5と同じ装置を用いて高周波撹拌及び電気分解併用で元素変換実験を実施したところ、約20日間の処理で以下に述べるように元素変換が確認された。
【0055】
  元素分析は、実施例5と同一の測定器を使用して、同一の条件において測定した。その結果を表11に示す。この表から、20日後にカルシウム濃度は大幅に低下し(2800→1800mg/L)、代わりに鉄(<10→7700μg/L)、銅(3→370μg/L)、コバルト(1→270μg/L)及びニッケル(12→14000μg/L)の濃度が増加していることがわかる。特に、鉄及びニッケルの濃度の増加が著しい。このことから、高周波撹拌及び電気分解併用により、カルシウムが主としてニッケル及び鉄に元素変換されたと考えられる。
【0056】【表11】
【実施例7】
【0057】
  実施例6において、「カルシウム」を極めて価値のある「ニッケル」や「コバルト」に元素変換できることが実証された。そこで、カルシウム源として、一日の排出量が数十トンから数百トンともいわれる処理費用が膨大で問題となっている鶏卵の殻を、粉砕機により粒径数μm~数十μmに粉砕して、純水に投入して10~30%の濃度のスラリー状として、実施例6と同様に処理して、貴重なコバルトやニッケルに変換する実験を行った。表12に示すように、20日の処理の結果、カルシウムの濃度が減じ(3200→2500mg/L)、その代わりにコバルト(<1→1800μg/L)及びニッケル(<1→11000μg/L)の濃度が増加しており、この実施例でもが元素変換が確認された。
【0058】【表12】

以上

Phonon Energy社のDavid Daggett社長のプレゼン

Lenr-forumにAlainCoさんが投稿した記事によると、Phonon Energy社のDavid Daggett社長が
がSAE AeroTechという展示会で、常温核融合に関する口頭発表を行ったようです。

http://www.lenr-forum.com/forum/index.php/Thread/2059-Phonon-Energy-at-SAE-AeroTech-2015-and-promising-results/

このプレゼン資料の前半が最近の常温核融合のトピックスをうまくまとめてくれているので以下に示します(たぶん埋め込みで表示される筈です)。



この資料の終わりの方に掲載されている実験装置の写真も興味深いものがあります。何も実験データは載っていませんが、「炉」らしきものが写真に写っていますね。


以上

2015年9月13日日曜日

9月~10月に世界各地で行われる常温核融合関連の会議

2015年9月下旬から10月中旬にかけて、世界各地で常温核融合関連のセミナーやワークショップが5件開かれます。Cold Fusion Now! がまとめてくれたので、簡単に紹介します。

1件目は、米国マサチューセッツ州Teradyneで開かれるIEEEの会議での常温核融合セッションです。



2件目はロシアのソチで開かれる「第22回常温核変換と球電現象に関するロシア会議(RCCNT&BL-22)」です。


3件目は、イタリアのテルニ市で開かれる「Workday at Palesi de Terni」です。


4件目は、スイスのCERNで開かれるセミナーです。



5件目は、フランスのトゥールーズにあるエアバス社で開かれる第11回の水素吸蔵金属異常現象ワークショップです。


以上

E-Cat The New Fire が商標登録される

2015年9月8日に「E-Cat The New Fire」という商標が米国特許庁に正式登録されたと、E-Cat Worldに報じられました。興味深いことに、権利者は、ロッシ氏が率いる Leonardo Corporationになっています。登録状況は米国政府のサイトで調べられます

登録の証明書は以下のようになっています(上記サイトからダウンロードできます)。
以上

2015年9月9日水曜日

Dr. Ryushin Ohmasa's new nuclear transmutation experiments by cavitation

This is the English version of the article.  I add some information for foreign readers.

President of Japan Techno Co., Ltd. , Dr. Ryushin Ohmasa, has been pursuing a strange phenomenon occurred by Ohmasa-gas (special type of HHO gas) or cavitation generation process  by vibration stirring apparatus.  For example, "NHK world" reported his experiment as below.



I got new experiment results showing Low Energy Nuclear Transmutation from him, then I will introduce one of the results here.


Overview of the experiment


The aqueous solution of cesium chloride or copper chloride were stirred in 6 hours by his special vibration stirring apparatus, then tremendous amount of new elements emerged  in the solution.  For example, 70 [mg/l] Au (gold) emerged in the solution after 6 hours vibration stirring.  It's amazing amount !  


Process

  1. Prepare 2 [l] of cesium chloride aqueous solution or copper chloride aqueous solution in a beaker.
  2. Add solution called as "catalyst" by Dr. Ryushin Ohmasa into the beaker.  One type of the "catalyst" is heavy water (D2O), he said. He does not disclose another "new catalyst".
  3. Power vibration stirring apparatus on and continue to vibrate in 6 hours.

Features of the vibration stirring apparatus

  • The apparatus was created by Dr. Ryushin Ohmasa and was patented by him.
  • The wings of vibration stirring device are plated with "palladium".
  • Electrolysis is not performed.  

Result 1:  case of cesium chloride aqueous solution

The aqueous solution of cesium chloride (10g / L, 1%) with "catalyst" was stirred in 6 hours.  After the process,  in the solution, new elements were detected by inductively coupled plasma atomic emission spectrometer such as Au, Ag, Pt, Cu, Ni and W shown in Figure 1. You can see that a significant amount of metal elements  are detected, particularly in the case of  "new catalyst". 


Figure 1.
塩化セシウム水溶液(10g/L)
(Cesium chloride
water solution)
金(Au)
[mg/l]
銀(Ag)
[mg/l]
白金(Pt)
[mg/l]
銅(Cu)
[mg/l]
ニッケル(Ni)
[mg/l]
亜鉛(Zn)
[mg/l]
タングステン(W)
[mg/l]
処理前
(before processing)
<0.1<0.1<0.1<0.1<0.1<0.1<0.1
6時間処理後
普通触媒添加
(after 6 hour processing,
with normal catalyst)
20110.90.70.9<0.10.3
6時間処理後
新触媒添加
(after 6 hour processing,
with new catalyst)
70272.52.220<0.12


Result 2:  case of copper chloride aqueous solution

The aqueous solution of copper chloride  (8g / L, 0.8%) with "catalyst" was stirred in 6 hours.  After the process,  in the solution, new elements or change of amount were detected by inductively coupled plasma atomic emission spectrometer such as Cu, Au, Ag, Ni and Zn shown in Figure 2.  While the amount of Cu decreased, Ag increased significantly.

Figure 2.
塩化銅水溶液(8g/L)
(Copper chloride
water solution)
銅(Cu)
[mg/l]
金(Au)
[mg/l]
銀(Ag)
[mg/l]
コバルト(Co)
[mg/l]
ニッケル(Ni)
[mg/l]
亜鉛(Zn)
[mg/l]
ガリウム(Ga)
[mg/l]
処理前
(before processing)
3100<0.1<0.1<0.10.3<0.1<0.1
6時間処理後
普通触媒添加
(after 6 hour processing,
with normal catalyst)
28002.52.2<0.12.5<0.1<0.1
6時間処理後
新触媒添加
(after 6 hour processing,
with new catalyst)
250020170<0.17.80.3<0.1

Movie

You can see the experiment situation by the following video.
  • Cloudiness of the aqueous solution begins at about 37 minutes to 40 minutes from the start.
  • More cloudiness begins at about 1:07 from the start.
  • Further cloudiness begins at 1:13 to 1:15 from the start.
  • Temperature change (boiling) is not observed. 



2015年9月6日日曜日

BAZHUTOV氏のプラズマ放電による核変換特許出願

ロシアから常温核融合関連の新たな特許出願があったことが分かりました。出願者はBAZHUTOV, Yuriy Nikolaevich氏。発明者は、BAZHUTOV, Yuriy Nikolaevich; GERASIMOVA, Albina Ivanovna; KORETCKIY, Valeriy Petrovich; PARKHOMOV, Alexander Georgievich; の4氏となっています。ロッシ氏の追試で有名になったParkhomov博士も名を連ねています。

内容は、水溶液中でのプラズマ放電によって、核変換と過剰熱生成があるというもののようですが、詳しくは見ていません。興味のある方は以下をご覧ください。

https://patentscope.wipo.int/search/ru/detail.jsf?docId=WO2015108434



要約を引用します。
(EN)In a composite electrolytic cell having an aqueous electrolyte solution, an inner portion is made of a chemically stable electrically conductive material, and an outer portion is made of a heat-resistant dielectric material. When applying a voltage of over 300 volts and current greater than 1.0 amperes to an anode, a plasma discharge is produced, allowing for low-temperature cold nuclear transmutation nuclear reactions in a near-anode area of ​​the electrolyte, leading to intensive energy release and to the evaporation of electrolyte water, wherein an electrolyte pillar is maintained at a constant level and the function of a cathode is carried out by the inner portion of the electrolytic cell. A device is carried out in the form of an electrolytic vessel having a composite cylindrical housing which is provided with a lid, a level-meter and a dose-dispenser, and which is connected to an electric power supply, wherein an inner portion of the housing, which is made of a chemically-stable electrically-conductive material, carries out the function of a cathode, and an outer portion of the housing and the lid are made of a heat-resistant dielectric material having a thickness of more than 1cm, wherein an anode in the form of a rod having a diameter of 3-10mm and having a sharp end-fitting is installed in the lid, coaxially with the housing, and is submersed in the electrolyte to a depth equal to the diameter of the rod .
以上

Mats Lewan氏が「The Biggest Shift Ever」についてFull Circleで語る予定

常温核融合に造詣の深いジャーナリストであるMats Lewan氏が、2015年10月1日~2日に開かれる「Full Circle」の会合で常温核融合について話をします。場所はブリュッセル。


以上

CERNで常温核融合研究会が開かれます

2015年10月14日に、CERNで常温核融合の研究会が開かれます。
1ページのアブストラクトが以下に公開されています。
講演者は、 Graham K. Hubler、 Vittorio Violante、 Juliana Schellの3氏です。
https://indico.cern.ch/event/440482/attachments/1149027/1648508/abstract_CERN_14oct2015.pdf

以上

Richard A. Oriani 博士のご冥福をお祈りします

常温核融合研究者として著名なRichard A. Oriani博士が逝去されました。ご冥福をお祈りします。



以上

IEEE主催の常温核融合研究会が9月下旬に米国マサチューセッツ州で開かれます

2015年9月23日にIEEE主催の常温核融合研究会が行われる予定です。講演者は、Peter Hagelstein博士とLouis DeChiaro博士です。場所は米国マサチューセッツ州。IEEEが常温核融合に関与するのは近年ではなかった事だと思います。


以上

2015年9月3日木曜日

振動撹拌での常温核変換(元素変換)実験2~塩化マグネシウム水溶液

前回の記事で、塩化セシウム水溶液と塩化銅水溶液の振動撹拌により、新たな色々な元素が検出された実験を紹介しました。今回は、塩化マグネシウム(にがり)水溶液を振動撹拌した実験結果を紹介します。

実験の概要と特徴

実験は前回と同じく以下の手順で行われます。道具立ては非常にシンプルです。
  • 塩化マグネシウム(にがり)水溶液をビーカーに入れる。
  • 大政博士が「触媒」と呼ぶ溶液を添加する。触媒の一つは「重水」です。もう一つの触媒については非公開とされています。
  • パラジウムでメッキした羽根を持つ装置にて振動撹拌する(数時間以上)。(電気分解は行わず振動撹拌のみ)
  • 振動撹拌後に溶液の内容を分析すると、振動撹拌前には無かった元素が検出されています。

実験結果3: 塩化マグネシウム水溶液の振動撹拌

塩化マグネシウム水溶液(30g/L, 3%)に新触媒を添加した上で6時間振動撹拌し、その前後での溶液中のMg, Au, Ag, Cu, P, Alを分析した結果を表3に示します。元々含まれていたマグネシウム(Mg)の量が減少し、りん(P)の量が顕著に増加しているのが分かります。減少量と増加量が1リットル当たり「グラム」のオーダーになっているのが驚異的です。

Figure 3.
塩化マグネシウム水溶液(30g/L)
(Magnesium chloride
water solution)
マグネシウム(Mg)
[mg/l]
金(Au)
[mg/l]
銀(Ag)
[mg/l]
銅(Cu)
[mg/l]
りん(P)
[mg/l]
アルミニウム(Al)
[mg/l]
処理前
(before processing)
3900<0.1<0.1<0.1<0.1<0.1
6時間処理後
新触媒添加
(after 6 hour processing,
with new catalyst)
22000.23130150190017
(測定: 埼玉県産業技術総合センター)
(測定方法: ICP発光分析装置による分析)

マグネシウムは、3900-2200=1700 [mg/l] も減少しています。しかし、新たに検出されたAg、Cu、P、Alの総和は2197 [mg/l]となり、なぜかマグネシウムの減少量を上回る増加を示しています。質量の総和が増えはしないでしょうから、水や新触媒から元素が補充されたのでしょうか? たいへん不思議な結果です。

以下に実験時の写真を示します。振動撹拌後の水溶液が白濁しているのが分かります。


なお、振動撹拌装置については、日本テクノ株式会社のホームページに特許などと共に簡単な紹介が出ています。


以上