2011年11月28日月曜日

ロッシ氏はE-Catの公開実験を拒絶、ビジネス化に集中

常温核融合が政治の舞台へ~ロッシ氏、マサチューセッツ州政府と2日間の協議」でお伝えした会議ですが、どうやら、MITのHagelstein博士から申し出のあったE-Catのブラックボックステストの申し出をロッシ氏はまたも拒否したようです。
マサチューセッツ州政府で行われる会議にMITの教授が出てくるとなれば、こういった提案があると予想する筈です。最初から断るつもりならば、会議に行くのは失礼だと思いますが、ロッシ氏はどう考えているのか知りたいところです。

以下は、この会議での拒絶を伝えるJed氏のMLへの投稿です。実は、ロッシ氏は、10月末のテストを最後に、二度と公開テストはしないと何度も明言しています。常温核融合というと誰もが疑いの目で見ていた初期の頃は積極的に成果を公開してきましたが、既に顧客を得た今の時点では、特許を取れていない技術の情報を漏らす危険は避けたいという事なのでしょう。残念ではありますが、それだけビジネスに進展の兆しが見えているのだと好意的に解釈しています。
[Vo]:Report on Rossi's visit to Boston
Jed Rothwell
Wed, 23 Nov 2011 13:32:28 -0800 
Someone from Boston just called me to say that Rossi met with Peter Hagelstein at the state capital, and Rossi said exactly what he's been saying all along: 
"No more tests. Let the customers decide. Etc." 
Peter offered to do a pure black box tests but Rossi turned him down
In other words it was a waste of time and an embarrassment. The state representative probably regrets he ever heard of the man. 
Why did Rossi even go? What was he thinking? 
He does at least make it clear that he cannot reveal anything about this because he has no patent. He does not actually say "I do not want widespread publicity because I have no patent -- I want to cash in while I can" but I am pretty sure that is what he is thinking. What else? He is between a rock and a hard place. On a different subject . . . Assuming Rossi actually did sell that one megawatt react to someone in the US, it is likely to be the US military. No other entity would think of operating a nuclear reactor of unknown etiology without a permit and without any UL certification. 
Rossi's statement that there will be "no more testing" is ridiculous. Before he sells to ordinary customers there will have to be a ton of testing by UL and many safety agencies, as I have often pointed out. Defkalion understands this. They have often cited the need for thorough testing and approval before they can begin selling.   
- Jed
上記でJed氏が指摘していますが、E-Catのビジネスを進める上での大きな障壁は、一般市場向けの認証取得です。おそらくE-CatはまだUL認証等を取得できていません。これは、ロッシ氏の最初の顧客が軍隊だったという話と符号します。軍隊だけは一般市場用の認証を気にせず製品を導入できますから。認証取得はE-Catの民間ビジネスへの拡大に向けて大きな課題となるでしょう。

また、最初の顧客が軍隊だったという話は、以下に載っています。


これは、E-Cat Worldに載った以下の記事の和訳だと思われます。この中で、ロッシ氏が最初の顧客は軍隊と認めた話が出てきます。更に、同じ顧客から13機の追加注文を受けている事も明かされており、(この話が本当ならば)E-Catはまず軍事用としてビジネスが立ち上がるのかもしれません。本命は民需だと思いますが、先ほどの認証などを考えると、アーリーアダプターとして軍隊が出てくるのはやむを得ないですね。



以上

1MW E-Catのカタログ

1MWのE-Catのカタログが公開されました。

https://docs.google.com/open?id=0B__Wi_DF2CjJNTMyZTdlYjAtYzM3OC00ZGFjLTlkMjAtOWFkYWExODI4NmQ3

以下のような紙面になっていて、それらしくなってます。NASAのDennis Bushnell氏や、Hanno Essen博士、Sven Kullander博士のコメントが引用されていて、これは本人達の許可を取ったのであろうかとMLでは議論になっていました。



以上

2011年11月24日木曜日

常温核融合が政治の舞台へ~ロッシ氏、マサチューセッツ州政府と2日間の協議

ロッシ氏がマサチューセッツ州に招かれ、州政府とMITの代表と2日間の協議を行うとの事です。マサチューセッツ州上院議員のBruce Tarr氏の招きにより実現したようです。Tarr議員のブログに記事が載っています。


「Mr. Rossi’s reactor, if successfully proven and developed, has the potential to change the way the world deals with energy, and I’m pleased that he’s willing to discuss basing its production in Massachusetts.」と述べているので、ロッシ氏の技術の持つ重大さを把握した上で、マサチューセッツ州にその生産拠点を置かないかと提案しているようです。

ロッシ氏が初めて政治の舞台に登場しました。常温核融合技術の持つ意味を考えれば、これが政治的に大きなテーマになるのは必至です。おそらく、来年の大統領選挙では、常温核融合技術のもたらす恩恵をどのように具体化していくかが大きな争点として取り上げられるのではないでしょうか。

以上

2011年11月21日月曜日

デフカリオン社からの予告プレスリリース

ロッシ氏とのE-Catに関わる技術供与の契約を破棄してしまったデフカリオン社ですが、11月14日にプレスリリースを発行しました。

このプレスリリースには、以下のように「2週間以内に我々の開発の完全なアウトラインをリリースする」と記載されており、いわば「プレスリリースを予告するプレスリリース」になっています。11月14日から2週間ですから、おそらくは今週中(25日まで)に新たなリリースが出されるのではないかと思います。とても楽しみです。

Defkalion Green Technologies has maintained silence during our work this past year with various incidents requiring public statements.
We announced that we would make our announcements when we have a close to final product.
The pictures below are from our labs and indicate our work in progress.
We will release a complete outline of our developments wthin the next two weeks
全部で5ページあるプレスリリースの2~5ページ目には、開発中のハイペリオン(デフカリオン社の常温核融合装置の名称)の写真が掲載されています。以下は、このプレスリリースからの抜粋ですが、この写真を見ると、素人目にはE-Catよりも完成度が高いように見えます。



また、http://www.tovima.gr/ というギリシア語のサイトに、デフカリオン社のインタビュー記事が載りました。ギリシア語で書かれていて、そのままではさっぱり分かりませんが、Google翻訳が手助けになります: http://bit.ly/try766

この記事の中にも以下のような写真が掲載されており、「The evolution of 'Hyperion': From the experimental device, left in the model of expected 45KW generator with 9 reactors」とキャプションにあります。9個の反応装置を合わせて45kWを生成する装置のようです。



また、以下のように、ロッシ氏のE-Catに比べて安定している点を大きな違いとして挙げており、完成度に自信を見せています。期待の高まる展開となってきました。

"All the technology used in devices Hyperion at the level of K W, and systems 1 to 5M W is our own design - different from those of Rossi" he replied. "As for the control, was already our own design and construction, and Mr. Rossi has signed acceptance certificate shows that it is ours. Even in the recent trial in October when he used some modules of our own design. However, the main and big difference in our device than that of Rossi is that our system is stable in performance, while that of Rossi or the last test failed to yield stable for more than five and a half hours. "

という訳で、今週はまたまた楽しみが増えました。期待して待ちましょう。

以上

2011年11月20日日曜日

ロッシ氏のレオナルド社の「非」公式Webサイト

ロッシ氏の経営するレオナルド社のホームページも立ち上がっています。

このサイトを運営するのは、PES Network, Inc. のCEOであり、PESWiki.comでロッシ氏の成果を詳細に報じてきたSterling D. Allan氏です。但し、ロッシ氏には、このサイトの内容に不満があるらしく、「公式ページ」の称号は外されてしまっています。なので、今のところ、レオナルド社の「非」公式ホームページという変な状態です。

以上


E-Catをオープンに研究できるようにして欲しいとの電子請願

米国には電子請願という仕組みがあるらしく、Webサイトを使って請願を出し、署名を募る事ができるようです。11月13日に、Kelly Tという人が、E-Catを(公費で?)購入して、オープンに検証を進められるようにすべきだ、とする請願を提出しました。

このブログを書いている時点で、署名数は473。請願とするためには、12月13日までに2万5千筆の署名を集める必要があります。米国の皆さん、どうぞ奮って署名をお願いします。

以上

フロリダで開催されるTEDにRuby Caratさん登場

常温核融合の認知拡大を進めるCold Fusion Nowを運営しているRuby Caratさんが、フロリダのフォートローダーデールで開かれるTEDに出演して常温核融合について語ってくれるようです。

期日は、12月10日。プレゼン時間は18分ずつのようです(全部で12名のスピーカーが3つのセッションに別れて喋ります)。たぶんビデオなんかも公開されるのではないかと思います。期待しましょう!

【追記 2011-12-07】
この催しはキャンセルされたとの報告がCold Fusion Nowに上がっていました。非常に残念です。


また、この記事の和訳が以下のサイトに載っています。この和訳サイトはとても便利です。

以上

ecat.com 登場

11月16日にecat.comが大幅にリニューアルされ、E-Catに関する情報がとても充実したサイトへと変貌しました。以下がホームページですが、製品や技術の説明、コスト計算、ロッシ氏の経歴、インタビュービデオなど、盛りだくさんの情報が載っています。
製品のページには、以下のような美しい1MWプラントの写真も載っています。
このサイトが誰によって運営されているのか、色々と憶測が飛び交っていたのですが、NyTeknik誌のMats Lewan氏が例によって謎を解き明かしてくれました。
上記の記事を読むと、以下のような事が分かります。ロッシ氏の回りにビジネスをしようという人たちが徐々に集まってきているようです。

  • ecat.comを運営しているのは、英国の「Hydrofusion」という会社である。
  • ロッシ氏は、ecat.comを北欧のE-Cat販売拠点と認めている。
  • Hydrofusion社は4名のスエーデン起業家によって成り立っている。CEOはMagnus Holm、英国の運営幹部はNiclas Sandström、販売幹部はPeter La Terra、Web戦略担当はStefan Helgesson。
  • Holm氏は、すべてのE-Cat関係者にとってのポータルサイトになりたいと語っている。
  • ロッシ氏との契約については開示されていないが、Holm氏は去年の末にロッシ氏に関する議論を読み、1月のボローニャ大学の実験の頃から注目していたとの事。そして、デフカリオン社のプレスカンファレンスでロッシ氏に会うなどして契約に至ったと。
  • 事前の注文を受け付けているが、商用機の出荷時期については明言していない。テスト機はすぐに出荷できるだろうとも。

以上

2011年11月6日日曜日

10月に行われたE-Catの実験で示された事と残念だった事

10月にロッシ氏が行った2回のテストはいずれも成功でした。但し、科学的な実験としては残念なところがあります。
実験の様子は、http://www.lenr-canr.org/News.htm にJed Rothwell氏の的確な要約レポートが載っています。 特に1回目の実験について、大局的に見ればセルフサステインモードでの過剰熱検出は明らかだが、実験の不備により充分なデータが取れなかった問題点も指摘しています。たいへん分かりやすい素晴らしい要約だと思うので、勝手に和訳してお届けします。

■Jed氏のレポートの勝手な和訳

Rossi device again demonstrated in self-sustaining mode. Large reactor demonstrated
Updated November 3, 2011
by Jed Rothwell

2011年10月7日に、アンドレア・ロッシ氏は、1MWプラントで使用するつもりの反応装置の1つユニットのテストを行いました。 テストは9時間続きました。 約4時間近くの間は入力は全くゼロで動作しました。 この装置はセルフサステインモードで動作したのです。 常温核融合の文献では、このモードはしばしば「死後の熱」と呼ばれます。(1993年にフライシュマン博士とポンズ博士によって初めて使われました。)

テストのレポートと短いビデオが、NyTeknik誌のMats Lewan氏によって発表されました。 詳細はここにあります。
(※訳者による補足: この実験の機器構成は以下のようにHiggins氏によって図解されています)


何人かの専門家がこれらの結果に疑問を表明していますが、大部分の人は反応装置が多量の過剰熱を発生させたに違いないと信じています。理由は以下です:

反応装置のベッセル(容器)は30リットルの水を保持します。 最初に電力によって水が沸騰しました。 過剰熱生成が始まりました。 2時間後に電力はオフにされました。 その後も過剰熱はおよそ4時間セルフサステインモードで発生し続けました。 このセルフサステインモードでの運用の間、およそ60リットルの水道水がベッセルに注ぎ込まれ、容積の2回分を取り替えたことになります。 反応装置の表面は熱いまま(60~80度)でした。(これは断熱が不十分で、多くの熱を放射したことを意味します)。 このモードへ入ってから3時間くらいの所で、ビデオは、観察者のひとりが偶然露出している金属面に触れたシーンを映しています。 金属は人を痛みでジャンプさせるほど熱かったのです。

セルフサステインモードの開始時には、過剰熱は3kWでした。 1時間後に8kWに上がりました。 過剰熱は不安定で、全部で3回上昇しました。 セルフサステインモードの終了時に、発熱は再び増えていました。 観察者が反応装置の内部を見たがってので、ロッシ氏はセルからガスを抜き、冷却水の流れを増加させて、反応を止めました。 もし、故意に止めなかったら、反応がどれほど長い間続いたかは分かりません。

断熱が不十分な金属のベッセルが30リットルの沸騰水で満たされれば、すぐに冷え始めます。 水は冷える一方です。 熱いままでいる事はないし、より熱くなることもありません。 そんな事があったら熱力学の第二法則に反してしまいます。  冷たい水道水60リットルがベッセルに注がれ、段階的に元々の水を置き換えて行きました。 これも冷却の要因です。 1時間後には、ベッセルは室温近くまで温度が下がる筈です。 ベッセルの中の何かが発熱していなければ、4時間の間、水を沸騰させ続けるのは物理的に不可能です。 この反応装置の中には、化学的な発熱源も電気的な発熱源もなかったのですから、熱は未知の反応から発生したに違いありません

残念ながら、どの位のエネルギーが発生したかを正確に決められないという問題によって、このテストは損なわれました。 ピークの発生熱量は、公称では8kWですが、測定装置が不正確であったために、実際にはもっと低かったかもしれないし、またははるかに高かったかもしれません。 おそらくは、10kWと思われます。 以下のような問題がありました: 測定機器の設置方法が不適切だったこと。 温度と流量の正確な独立検証を妨げた排出用ホースの置き場所。 非常に重要な流量などの値が計測も記録もされなかったこと。測定値が電子的に記録されたなかったこと(SDカードを挿入して、記録するのは簡単だった筈ですが)。 非常に重要な温度と流量のデータは、本来、毎分電子的に記録されるべきものですが、実際には、Lewan氏が手動で書き留めていました。 彼は10分か15分毎にしか測定機器を読み取れなかったので、データには大きなギャップがあります

これらの問題点は、2~3時間で修正できたかもしれません。 そうすれば、疑い深い反論にもっと容易に答えられたでしょう。 これらの問題点は以前のテストから存在していたので、全て予想されたことでした。 専門家は、テストに先立つ数週間から修正する方法をロッシ氏にアドバイスしていましたが、彼はこのアドバイスを無視しました。

モトローラ社や他の専門家がデータを解析しました。 彼らの殆どは、過剰熱の発生はあったと結論を下しました。 これらのレポートのいくつかがここにあります:  http://lenr-canr.org/RossiData/

Horace Heffner氏による分析はここにあります。

2011年10月28日に、ロッシ氏は、52ユニットからなる全体プラントを動かしました。 おそらく、再び入力無しで470kWの熱を生成したようです。 テストの模様はNyTeknikで記事になりました。

■和訳終了

Jed氏の元の記事は以下にあります。

http://www.lenr-canr.org/News.htm

以上